徳島県漬物加工販売協同組合
20年6月更新 徳島県立工業技術センター・第1回研究報告 「阿波番茶由来乳酸菌および茶汁を活用した乳酸発酵漬物開発について」 徳島特有の乳酸発酵茶
徳島名産の「阿波番茶」の製造過程で生じる茶汁や乳酸菌の漬物への応用について研究している徳島県立工業技術センターの第一回研究報告会が5月22日、徳島県漬物加工販売協同組合(井内運久理事長)の総会で行われ、茶汁は古漬け臭の脱臭効果や抗酸化作用などを持ち、阿波番茶由来の乳酸菌は 発酵期間の短縮や風味の改善にもなるという研究結果を発表した。同センターは、地域資源を有効利用した、付加価値の高い漬物の開発につながると提案した。
阿波番茶は、徳島で古くから製造され、世界的にも稀な茶葉を発酵させて作る後発酵茶の一種で、特徴として乳酸発酵による独特の酸味と香りを持つ。近年のカテキンブームも相まって、需要は高まっている。その半面、カテキン類など栄養成分を最も含む茶汁のほとんどが廃棄されていることが研究 に取り組むきっかけとなり、同センターの呼びかけで、地域ブランド作りを始めた青年部会(犬伏秀昭部会長)が主体となり、昨年11月から研究している。
これまでスダチや鳴門金時、ワカメの活用はあったが、阿波番茶による商品研究は初めて。 同センターは、茶汁や乳酸菌を、丸井産業が製造している「いなかたくあん」の米ぬかや塩漬だいこんに添加し、25℃で保存を行い実験した。その結果、5日目でPH3・90、12日目で3・78と、無添加(自然発酵)に比べ、PHの下がり方が早まった。味(酸味)への影響も見られなかった。第一回 目の研究のまとめとして、「阿波番茶由来の植物性乳酸菌や茶汁を添加することで、PHが下がり発酵期間を短縮できることが明らかになり、沢庵製造に応用できる」(食品技術課・宮崎絵梨研究員)とした。今後の課題としては、「きゅうりや瓜など、他の漬物にも応用できると考えており、利用法を 探っていかなければならない」と述べた。
井内理事長は「茶汁は、色の浸透があるが、より自然なうま味を付与すると感じた。乳酸菌は、通常、沢庵が乳酸発酵するまで7〜8ヶ月かかるが、約1ヶ月で酸味が出た。製造期間が短縮できることは、製品の風味や色の面でたいへん有益だ」と話した。 犬伏部会長は「将来的に特産シリーズとして製品化し、地産・地消を進める組合で販売しながら、長期的な視点で大事にブランドに育てていければ」としている。
                                    
                                    
                                    
                                    
                                                                         
                                    

19年11月更新 漬物に「阿波番茶」活用へ 徳島特有の乳酸発酵茶
付加価値の高い特産漬物を作ろうと、徳島県漬物加工販売協同組合青年部会は11月26日、市内で漬物技術研修会を開いた。徳島県立工業技術センターの呼び掛けで、徳島で古くから製造され、世界的にも希な後発酵茶「阿波番茶」の製造副産物であるゆで汁(茶汁) に含有するカテキン類や、漬け込み工程で作用する乳酸菌の漬物への有効利用について話し合った。これまでスダチや鳴門金時、ワカメの活用はあったが、阿波番茶による商品研究は初めて。 研修会には11社が出席した。犬伏博昭部会長は「特産漬物作りを青年部主体でやっていこうという中で、非常に参考になる話しであり、可能性についてみんなで研究していきたい」とあいさつした。   同センター・応用生物課の宮崎絵梨研究員が、阿波番茶の製造各工程から採取した試料の成分分析および微生物の検査結果、漬物への効果面などを説明した。カテキン類の含量は、茶葉をボイルする工程で生じる茶汁が最も高く、期待される効果として、 「茶汁の添加による抗菌作用や、阿波番茶由来の乳酸菌は漬物用乳酸菌スターターへの有効利用が考えられる」などと述べた。
  中西謙二・応用生物課長は全国的に地域資源を活用した商品開発が増えていることや、機能性の高さを強調。「徳島特有の阿波番茶の需要は高まっている。栄養成分の多い原料茶葉のゆで汁はすべてが廃棄されており、その機能性を有効利用すれば、より漬物をアピールできる」と活用を勧めた。 意見交換では、「カテキンブームの中、天然保存料として利用すれば付加価値が高まるのではないか」や「乳酸菌は味をコントロールできるよう調味液に添加してはどうか」、「漬物業者が添加しやすい形態にしてもらいたい」などと話し合った。次回は、浅漬やキムチ、野沢菜などに実際に 添加して、味への影響についても検討していく。
  徳島県は、野沢菜を筆頭にミブナ、カブラ、白うり、キュウリ、大根、ナスなど漬物原料(生・塩蔵)の一大供給地として業界を支えている一方で、工場の建設や近代設備の導入により、奈良漬、刻み漬に加え、浅漬の最終製品に取り組むところも増えている。既存製品に付加価値をつけ、特産化を図る ことでさらなる徳島県漬物界の活性化と発展を目指している。
                                    
                                    
                                    
                                    
                                                                         
                                    

19年6月更新 新青年部会長に犬伏秀昭氏 「良い方向に一致団結」
徳島県漬物加工販売協同組合青年部会の第31回総会が5月26日開かれ、田中民夫会長(辰巳屋食品)に替わり、犬伏秀昭氏(板野漬物食品)を新会長に選出した。副会長は川真田稔氏(川真田食品)、岡田長祐氏(岡田仙漬物食品)。   犬伏新会長は就任あいさつで「皆さんの協力のもと、しっかり2年間務めたい。その中で県産野菜、漬物の地産地消の推進とともに、ブランド化を目指し県外にアピールできる具合的な仕組みづくりを当青年部会が担当したい。 これは1社ではできない。組織でやってこそ全国で認められ、一層漬物づくりに誇りが持て、各社の後継者対策にもつながる。厳しい時代の中で商売をしているが、この流れを次代に残さないよう良い方向に一致団結して知恵を出し合って盛り上げていこう」と話した。   また同会では5月12日〜15日、8社8名が参加して中国・大連への研修を行った。タケフーズの井上春利社長の案内で、コンニャクゼリーやおでんの大連荒船食品有限公司と、タケフーズの漬物工場・大連春利食品有限公司を見学した。                                     
                                    
                                    
                                    
                                    
                                                                         
                                    

19年6月更新  第41回総会開く 「共存共栄へ一致団結」と井内理事長
徳島県漬物加工販売協同組合は5月18日、市内のグランドパレス徳島で総会を開いた。                                     冒頭、井内運久理事長は「中小でも特に地方は厳しい。会員各社の得意分野の製品、技術を持ち合い、共存共栄の気持ちを強く持って進んでいってほしい」とあいさつ。                                     昨年度は中国人研修生15名(9社)の受け入れやポジティブリスト制度などを推進、今年度は研修生21名(10社)の開校式を5月5日に行った。このほか特産品の研究・開発や産地工場の見学などを行う予定。                                     
                                    
                                    
                                    
                                    
                                                                         
                                    

井内運久理事長を再選、第40回総会
徳島県漬物加工販売協同組合は18日、グランドパレス徳島で第40回通常総会を開き、井内運久理事長を再選した。井内理事長はあいさつで「昨年は外国人研修生受け入れや、組合員全員で協力して農薬問題などに取り組んだ。またポジティブリスト制度についても一致協力して対応していこうということになった。これからも協力し合いながら前進していきたい」と抱負を述べた。 来賓の県農林水産部とくしまブランド戦略課食料安全推進室の増野朋也室長は「漬物は災害時の物資調達先としても協定を結んでいただいている。本県は生鮮食料の供給地としての地位に加え、県産物の優位性や独自性を前面に出していく新鮮徳島ブランド戦略にも取り組んでいる」と話した。                             県立工業技術センターの井内晃所長は「平成18年までに、みぶ菜を対象に漬物用野菜の鮮度を長期間保持していく漬物製造技術の開発に取り組んでいる。一昨年は相次ぐ台風上陸で路地野菜が壊滅的なダメージを受けた。今年は寒波で品不足になった。また水不足の年など、価格が安定していて豊富にある時に多めに購入して、それを3ヶ月程度鮮度が保てるようしていきたい。辰巳屋食品さんに協力してもらっており、野菜の種類、温度や湿度の保存条件、微生物の影響などいろいろな面から簡単ではないと思うが、ベテランと若手研究員とが総力挙げており、きっと良い成果が出てくると考えている」と話した。 組合員は3社減り32社。今年度も沢庵、酢漬、刻漬など各部会の生産対策および技術開発、資材協同購入事業や外国人研修生受入事業、関係団体等の交流を密に情報交換などを行う。                                     
                                    
                                    
                                    
                                    
                                                                         
                                    

研究機関とタイアップし特産品づくりスタート
 徳島県漬物加工販協同組合は1月20日、グランドパレス徳島で定例会と新年会を開催し、井内運久理事長は「ここ2年、業界は長いトンネルに入っている感じだが、新たな気持ちでピンチをチャンスにして前向きに進んでいきたい」とあいさつ、今年4月スタートの登録商標の団体認証制度にあわせ、徳島特産のスダチやワカメなどを取り入れた、漬物の特産品づくりもおこなっていくとした。情報交換では「原菜(露地もの)は12月20日以降の寒波で痛み、年末ひっ迫した。また寒さが戻ると出荷の前倒しで不足しそうだ」。奈良漬は「焼酎ブームの一服感もあって、清酒は昨夏から前年比100%の売行きだが、各社とも手持ち在庫があって生産調整している状況の中、酒粕の値上げ幅が心配。奈良漬に最適な高級酒の粕も少ない」。市場の動きについては「値入は和日配40%、洋日配20〜25%で、量販店にとって漬物は格好の商材。そのうえ設備投資、衛生管理、原産地表示などからコストがかかる。いち早い価格競争からの脱却が必定」との意見があった。




関西漬物協会定例会を徳島で開催、活発に意見交換
関西漬物協会(黒田武伸会長)の平成17年度定例会が10月5日(水)、ホテルクレメント徳島において開催された。講演会は、四国アイランド・リーグ運営のIBLJ社長で、元オリックスブルーウェーブ監督の石毛宏典氏を招いて、「野球にかける想い」を聴講した。
定例会は黒田隆喜副会長の開会の辞、徳島漬物加工販売協同組合の井内運久理事長の「吉野川がもたらす肥沃な大地で収穫される徳島の漬物原料を今後とも宜しくお願いしたい」との歓迎の言葉に続いて、黒田会長が挨拶に立ち、「日本経済は踊り場から脱出して上昇局面にあり、株価、地価の下げ止まり、日銀短観などいずれも良い数字がでている。しかし漬物は価格競争の中で苦しんでおり、回復基調にある日本経済との乖離は大きい。全漬連の平井会長は価格競争をやめて品質競争をと提唱されているが、実際の売場では価格競争がやむ気配はない。しかし単に手をこまねいているのではなく、一歩ふみ出す勇気が必要だ。昨年、大阪府漬協では農産物漬物の安心安全マニュアルを完成され、京都府漬協では京ブランドの認定を受けられ、先般は京野菜と漬物の公開シンポジウムを開催された。和歌山の紀の川漬ブランドや広島菜漬の機能性などに各県では取組まれている。地味な努力だがやがて陽の目をみると思う。漬物は地域特産野菜の加工が原点だが、産官学の連携などにより振興を図れればと考えている」と述べた。
来賓の熊谷幸三県農林水産部次長は「徳島は関西ナンバーワンの野菜出荷高を誇っており、全国に向けて新鮮とくしまブランド戦力を展開中だ」とあいさつ。
平井義久全漬連会長は「今後、原料問題がさらに大事になる。自民党幹事長の武部氏が私どもの会合にみえたとき、農業への企業参入を図ればどうかと話していたが、農地法が改正となり現実味をおびてきた。今日は青年部の皆さんにも出席いただいているが、いずれはこちらの席に座っていただくことになる。今はしっかりトレーニングを積んでいただく大事な時期だ。徳島では2年前に青年部大会を開催し大成功となり、やはり青年部は必要と再認識できた。つづく東京大会も見事に開催し、本年の佐賀大会にもこぞって参加いただきたい。地域特産品委員会は10年近い活動になるが、国も地域ブランドをアピールしている。京都では京ブランドと京つけものを連動して団体登録ができるようになり、京ブランド化を推進している。安売りはせず、おいしい地域ブランドの競争をしていただき、価格競争をやめる自助努力が必要だ。全漬連では賦課金調整のため組合員数を調査しているが、平成14年にくらべて122社減少したと長友専務理事から報告があり愕然としている。全漬連が十分な活動をしていくには賦課金を減らすばかりではなく逆もあるかもしれない」と話した。
総会後、全漬連報告として長友冨士夫専務理事より「8月のJAS調査会で、漬物の品質表示基準が一部改正され、原料原産地の表示方法が従来の原料原産地名欄を設けての表示、もしくは原材料のところにカッコ書きにして国名を入れての表示と、どちらかを選択できるようになった」、また漬物の外国人技能研修制度について「1年間研修後、技能試験に通ればさらに2年間、賃金を払って労働力として雇える。国内の技能検定試験が必要で作業としては非常に困難で煩雑だが鋭意作業をすすめている。一番新しく認定を受けた食鳥業界は4年かかった。中田肇前会長の悲願でもあり、できるだけ早く3年をめどに認定を受けたい」と説明。
意見交換会では、組合員の減少による今後の運営について、外国製品の流入についての質問に対し、平井会長は「外国製品の流入や京漬物が全国でつくられている現状は組合員のモラルの問題。それぞれ地域に根ざした漬物をつくることが肝要だ。全漬連会員の会費は1人1万2000円だが、120社減れば144万減る。全漬連予算はかつての4千400万から昨年4千万、今年はそれを切る計算だが、異業種に負けないそれなりの活動をするならば4千万は必要と考える。異業種はもっと多い予算で活動している」と答えた。
岡本好弘兵庫県漬協理事長からは「メーカーの直取が増え専業卸は大きな影響を受けている。われわれが汗水たらして開拓してきたルートを水がでればどこでもいいと食系問屋に変更をかける。メーカー自身が中国製品を引いてドラッグ、業務筋に流す。モラルがなく、組合に加盟している意味もなくなる」と意見を述べ、中田肇前会長は「中国製品は自社工場の稼動が落ちるのでわれわれは実際やりたくないが、米菓、あられ、商社など他業者が引いて安く売っている中で、対抗上でやらざるを得ない面もある」と話した。

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